2007年02月07日

長嶋有 「猛スピードで母は」

この本には2作品収められており、
「サイドカーに犬」で第92回文学界新人賞、
「猛スピードで母は」で第126回芥川賞を受賞している。
たった400円で大変お得な本です^−^



「サイドカーに犬」

お母さんが出て行き、
その代わりに若い女・洋子さんが晩御飯を作るようになった夏休みの日常を
小学生の女の子の立場から描いたお話。



「猛スピードで母は」

母と2人の生活を小学生の男の子の立場から描いたお話。



両方に共通しているのは、
「お父さん」がほとんど描かれていないのと
子どもの視点から描かれていること。


そして「サイドカー・・・」に出てくる若い女性洋子さんと、
「猛スピード・・・」の母は
どちらも淡々としていて若々しくて強くて瑞々しい。
どちらの女性も、「子どもを庇護する大人」という感じはまるでなく、
なんていうか、とらえどころがない女性なのだ^−^;;
だからかな、最後までこの女性2人によってストーリーが引っ張られていく。


語り部である子どもも、どこか大人で、でもお母さんを愛していて、愛されたくて、
その気持ちの葛藤が淡々とした文体の中によく現れている。


語り口としてはあっさりしているので、
それこそ「猛スピード」で読破できるんだけど、
2回目はまた違った味わいが楽しめるんでしゃないかと思います^−^
ちなみに私はあっっっという間に読み終わってしまい、
芥川賞の味わいがわかりませんでした(−−)

また読んでみようっと。


それから
文体から察すれば作者の長嶋さんは女性だと思っていたのですが、男性なのね!
びっくりしました^−^



猛スピードで母は

著者名:長嶋有(著)
出版社:文芸春秋
出版年:2005.02
ISBN :9784167693015

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2006年11月16日

乃南アサ 「ライン」

ラインとは、「オンライン」のライン。
主人公の浪人生薫は、現実でのやりきれなさや寂しさをチャットで埋めようと、
夜な夜な「KAHORU」というハンドルネームで女になりすまし、
ちやほやされて楽しんでいる。
しかし、ネット上のKAHORUに本気で惚れた男性が
実際に彼女に会いに行った先で殺害されてしまうのだ。


ミステリーなので、これ以上の展開については言えないけど、
ネット上での心理状態などが緻密にかかれている。
まだパソコン通信の時代に書かれた作品なので、
今はすんなり「こういう世界もあるある」と思って読めるけど、
当時は「げ!信じられない!」という感覚で
チャットの場面が読まれてたのかなーと思う。


浪人生という微妙な立場、親の期待、友達に先を越される感覚。
10代特有の、ちょっと自己中心的でちょっと他力本願で
ちょっと楽観的な雰囲気を、主人公薫は漂わせている。
若者の心の葛藤みたいなものも、この作品の読みどころかな。


ただ個人的には、
乃南さんの好きなところは物語が重厚で切れ味鋭い謎解きにあるので、
今回のはちょっと物足りなかったかなー^−^;;


ラストの場面、薫は警察官に諭される場面があって、
「もう少し現実に目を向けたらどうだ?」と言われ、
「現実なんか重苦しいだけじゃないか、疲れるだけじゃないか」と
言い返そうとした瞬間、違う気持ちがこみあげてきた薫。

時には煩わしく、邪魔でうるさいばかりに思えても、
彼らは皆、血の通った生身の人間だった。
その存在に、嘘はない。

普通の人は、現実の世界とネットの世界を住み分けられる。
もちろん違いははっきりつくし、常に身を置いているのは現実の世界だ。

でも、この作品の主人公のように、
逃げ込みたいとき、刺激がほしいとき、
評価されたいときはどうだろうか?
現実世界に逃げ込める場所がないなら、
ネットの世界に逃げ込んだって不思議はない。
自分の素性を知れることはないんだし。

また、住み分けられない人を狙っている悪質な人もいる。
両方の世界を住み分けられない人や、簡単にその垣根を越えてしまう人は、
ネットの怖さを認識しなきゃだめですね。
最近ネットや出会いサイトによる犯罪は増える一方。
現実の人間関係を遮断し、
自分を飾ってでも表現できるネットでの人間関係を望んでいる人は
増えてるのかな、やっぱり。
バランスって必要だよなーとつくづく思う最近なのでした^−^;;


ライン

著者名:乃南アサ(著)
出版社:講談社
出版年:1997.11
ISBN :4062636336

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2006年11月03日

野口 悠紀雄 「「超」勉強法」

この本は国・数・英3教科に対するそれぞれの勉強法、
暗記法、受験法などが書かれている。
明快に切れ味鋭く書いてくれているので、大変読みやすい。

でも野口さんは経済の専門家であって、受験のプロではない。
野口さんは受験面からではなく、脳のしくみ、
人間の性質などの面から切り込んでいるので、
受験マニュアルというものではなく、
「勉強とは何か」ということについて論じてるといったほうがいいかも。
アドバイス1つ1つが理にかなっていて、納得がいく。


東大受験を舞台にしたマンガ「ドラゴン桜」でも、
「試験は天から降ってくるものではなく、
人間が人間に対して作っているものだ」というセリフがあったが、
まさしくそういう考えの下にこの本は書かれている。
また、科学的な根拠も積極的に取り入れているので、大変説得力もある。


とにかく、勉強で大切なことは、
「マイナスを埋めるよりプラスを増やすこと」だそうだ。
マイナス面を逐一埋めて、基礎をコツコツ積み上げるのは「マゾ」だ、
と野口さんは述べている。
ひょー。
私はいいかげんな人間なので、マイナスを埋めるというのが大の苦手なんだけど、
わからないことをそのままにしておくのは罪悪感めいたものがあった。
でも「そんなもの気にせず先に進んじゃおう」ということらしい。


もう少し早く出会いたかった一冊です^−^;;
でもこれ読んだら、今からでも大学に行けそうに思えちゃうわ♪

超勉強法

著者名:野口悠紀雄(著)
出版社:講談社
出版年:2000.03
ISBN :406264827X

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2006年10月24日

南部昭行 「あなたは『石油製』化粧品を肌につけている!?」

なんと衝撃的なタイトル!
知識として化粧品類に石油成分が入っているのは知っていたけど、
こうバーン!と言われるとやはり衝撃的^^;;


読んでみると、化粧品などに含まれている合成成分の恐ろしさ、「成分表示」の真実、
合成成分の種類と引き起こす影響などが書かれてある。
ふと周りの化粧品、洗剤、歯磨き粉など直接人体に関係あるものを見てみると、

・・・・・・・・・まあ、あるわあるわ。有害成分。(−−)


ちょっと断言的過ぎていて、さらに後半は宣伝が多分に入っている気もするけど
(著者は化粧品メーカーの社長さん)
知識として化粧品の危険性を知っておくのはとてもいいと思う。


一番ためになったなあと思うのは、
「天然成分配合」という表示トリック。
よくCMでも「天然成分配合」というアピールがされているし、
消費者側も安全だと思い込むところがある。
ところが、これは天然由来成分がちょっとでも入っていたら「配合」というらしい。
本当に天然由来成分のが買いたければ、「100%」と表示されているものを買え、と。


確かにその通りだわ(−−)
今までこりゃ安心だ!と思ってことが覆されてしまったけど、
売る側は別段嘘をついてないわけだし、
勝手に消費者側が「安全・安心」と思わされてしまっただけ。
食べ物についても同じことが言えるのではないか、と恐ろしくなった。


この本を読んでからというもの、
かならず成分表示を見るようになってしまった。
私は肌が弱いってわけじゃないので今まで少ししか気遣ってなかったけど、
敏感肌の人はちょっと化粧品の種類を変えただけで症状が悪化するみたい。


特にアレルギーやアトピー性皮膚炎に悩まされている人は、
一度身の回りのものについて再確認したほうがいいかもしれない。
洗剤の有害成分が服に付着したままその服を身につけていたら、
肌が荒れるのはあたりまえのわけだし。


余談ですが、
うちの近所に有害物質が一切入ってないものだけを使っている美容室がある。
その美容室に入っても、美容室独特の強いにおいが全くしない。
パーマ液もつんとしたにおいは全くない。
担当の美容師さんは、この店で働き始めて以来手が荒れたことがないそうな。

もう1つ余談で
この本を持ってきてくれた友達は、
現在すべて天然成分100%のものを使っている。
髪の毛にはムースの変わりに椿油を使うほどの徹底振りだ。
彼女の肌はすべすべ、髪は光り輝いている。
どうやら効果は本物みたい^−^

あなたは石油製化粧品を肌につけている

著者名:南部昭行(著)
出版社:現代書林
出版年:2001.08
ISBN :4774503673

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2006年09月19日

乃南アサ 「鍵」

登場してくるのは両親を亡くし、
まじめな姉、何を考えているかよくわからない兄と暮らす、
耳に障害がある高校生・麻里子。
同級生の友人、刑事をしている兄の友人も登場する。


麻里子のカバンにある日1つの鍵が入っていた。
この鍵をめぐって殺人事件にまで発展していくんだけど、
事件の進展と共に麻里子は家族や周囲の人々との関係に悩み、
事件の解決と共に心を通じ合わせていく。


これはあくまで私の主観だけど、乃南さんの特徴は、
ミステリーでありながら登場人物の人間模様が繊細に書かれていることかなと思う。
要するに1冊で2度オトクな作品♪
ミステリーは展開が最後まで読めず、麻里子の家族、友人との関係も気になる。


不器用ながらも妹麻里子を見つめる兄・俊太郎のようなお兄ちゃん、いいわ〜^^
世の父親は、思春期の女の子をこのように見てるのかな?と
想像してしまった。





著者名:乃南アサ(著)
出版社:講談社
出版年:1996.12
ISBN :406263435X

posted by izura at 14:33| Comment(0) | TrackBack(1) | 作者−な行