2007年11月07日

後藤 彩 「チョコ。」

単に装丁が気に入って借りてきた本。
薄かったし、すんなり読めそうでもあったので^−^



ある高校で、両親からの虐待に苦しんでいるクラスメートの男の子を救おうと
彼を慕う主人公の女の子が色々考え、行動に移そうとするストーリー。


なんでタイトルが「チョコ」なのかというと、
この男の子は学校では元気に振る舞い、
「チョコはみんなを幸せにしてくれる」と言って、
ことあるごとにみんなにチョコをあげるのだ。


作者の後藤彩さんは当時は現役の高校生だそう。
高校1年のときの作品かな?


感想はというと
正直、「次回作に期待!」って感じかな^−^;;

男の子のために奮闘する人たちがクラスメートのみんなっていうのが、
私にすれば正直リアリティがない印象を受ける。
心理描写もぐっと心を突き刺すようなものがほしかったかな。
テーマがテーマなのでね。
高校生が書いた話にすればとてもきれいにまとまってるけど、
プロの作家としてはこれから、という感じです。


でも、この後藤さんが虐待について真正面から取り組もう、
という気持ちはとても伝わってくる。
すごく若さがほとばしってるというか、
書き手の情熱がストレートに作品に現れてると思う。
たぶん彼女のメッセージは
「色々な問題に目をつぶらないで取り組もうよ」ってことだと
私は勝手に思ってるんだけど、
それがとてもよく伝わってきて、気持ちがいい。


ちなみに、この本は2005年の2月14日のバレンタインデーに刊行されたんだけど、
私が読んだのが2006年のバレンタインデーという、ちょっとした偶然!

バレンタインデーだからチョコだな、とは思いもせずに読んだんですがね。
こういう小さな偶然ってたまにあるよね^−^


チョコ。

著者名:後藤彩(著)
出版社:碧天舎
出版年:2005.02
ISBN :9784883468799

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2006年12月05日

久世光彦 「卑弥呼」

タイトルは「卑弥呼」。
でも邪馬台国の女王の話ではない。
実はこれ・・・・。
女性器の新しい呼び名として採用されようとする名前なのです^−^;;


主人公はカオルという彼氏を持つ明るい女性ユウコ。
ある出版社に勤めている。(たしか21,2歳だったはず)
二人は普通の仲良いカップルなのだが、問題が1つ。
どうしても“アレ”ができないのだ。
二人とも経験がないわけではないのに原因は何かとぼんやり考えつつ、
ユウコは出版社で
「隠語でしか呼ばれない女性器に、明るくてステキな名前をつけよう!」と企画。
ひょんなことからカオルのおばあちゃんと仲良くなり、
色々なことを経験しながら、周りの人との関係や自分を見つめなおす、というお話。


ストーリーをざっと読んだだけでも、ちょっとおかしな作品みたいでしょ?^−^
タイトルの卑弥呼と作品の内容のギャップは大きいし、
なんと卑弥呼のネーミングの理由も・・・・だし(笑)

これがですねえ、すっごくおもしろかったです!
文庫版でも600ページという長編なんだけど、
すらすら〜っと読めちゃう。

なんたって主人公のユウコちゃんが魅力的。
明るくて元気で、芯が1本通った若者。
色々なことを考え、感じ、自分の周りを彩り豊かにしていける女の子。

そして彼氏のカオルくん。
こちらはのんびり屋さんでマイペース。
ユウコちゃんとは対照的だけど、お似合いのカップルなのです。
でもなぜか、できません^−^;;

あとカオルのおばあちゃん。
気難しいけど、なぜかユウコと気が合い、
色々な文学の知識をユウコに与えていく。
こちらもまたハイカラで魅力あるおばあちゃん。

この3人がそれぞれに魅力を放っているので、
読んでいて飽きないし、おばあちゃんの知識はためになるし、
「できない」謎も知りたいし、偉大な企画の行方も気になるし・・・
で、すらーっと読めました。
だいたい、主人公に共感できると、好きな作品になっちゃいますよね〜。





卑弥呼

著者名:久世光彦(著)
出版社:新潮社
出版年:2000.06
ISBN :4101456267

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2006年11月06日

銀色夏生 「これもすべて同じ一日」

高校生のときに読んだ詩集。
当時は私の周りはみんな銀色さんの詩集を一度は手にとっていた、
というほどの人気だった。


本の感想とは何の関係もないんですが、

銀色さんのこの本は思いがけない形で手にした。
友達が遊びに来たときに銀色さんの2冊の詩集を持って来た。
「どうしたの?」
「それが・・・・玄関の前に花束と一緒に置いてあったの」

へ?
考えてみれば、前の日は友人の誕生日。
どうやら誕生日プレゼントとして、同級生の男の子が置いていったらしいの。


・・・・・・・みなさん、どうですか?こんな形の愛の告白。
私は・・・・・・
すいません、ドン引きでした^−^;;
当然友達も^−^;;
「はっきり言って受け取りたくないから、もらって」と友達が言うので、
私が戴くことに。
(もう時効だよね。○○くん、ごめんなさい。
そのかわり私が15年も持ってましたから!)


で、本題に。
この人の詩集は、挿入されている写真が爽やかで好き。
きれいな写真ときれいな詩。
パラパラめくるだけで癒されます。


〜「これもすべて同じ一日」より〜
あなたのためになら
私にウソをついてもいいよ

私はいつだって こうやって
きたんだから

何かのためにかなしむのなら
誰かのためにかなしむのなら
もう何もかも まぶしくなっても
かまわないと思ってる



15年ぶりに読み返して見たけど、
すっかり当時のピュアな気持ちをなくしてしまっただろう今でも、
恋する気持ちや、人を思うけなげさがまっすぐに伝わってくる。

というわけで、彼が知らないところで私がこの本を大切に持っています ̄ー ̄


これもすべて同じ一日

著者名:銀色夏生(著)
出版社:角川書店
出版年:1986.12
ISBN :4041673011

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2006年10月31日

桐野夏生 「OUT」

深夜工場で働く4人の主婦。
それぞれ家庭にさまざまな事情を抱えていたが、普通の日常を過ごしていた。
その日常が、1人が発作的に夫を殺してから一転する。
その犯罪を隠そうと、死体解体を行って完全犯罪をもくろむ4人。
だが思わぬところで新しい人間が絡んでいき、
事態はどんどん予測のつかない方向へ進む・・・というお話。


いやー、おもしろかった^−^

何がおもしろいって、ラストがまったく読めなかった!
ラストが気になるとどんどんページは進む。


4人それぞれの性格があるけど、その性格が最後までぶれてないところもいい。
4人が抱える心の闇も、私たちに同感できるものばかり。
日常誰にでもある闇が、
こんなダークなことをやらかすまでになってしまうかと思うと、
空恐ろしくなる。
まあ、普通の主婦がここまでできるだろうか?という疑問は残るけど。


しかし桐野さんの作品は2つしか読んでないけど、両方に倒錯した世界が出てくる。
果たしてこの人の特徴なのかしらん・・・^−^;;

まあちょっと説明くさい表現には違和感を覚えなくはないけど、
とてもよくできたミステリーに仕上がってると思う。
映画化されているそうだけど、
どういう描写になってるのやら・・・どきどきぶるぶる

OUT 上

著者名:桐野夏生(著)
出版社:講談社
出版年:2002.06
ISBN :4062734478


OUT 下

著者名:桐野夏生(著)
出版社:講談社
出版年:2002.06
ISBN :4062734486

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2006年10月21日

金美齢 「日本がこどもたちに教えなかったこと」

教育を扱った本はいくつもあるけど、
筆者の金美齢さんは番組のコメンテーターで出演しているのを見たことがあったし、
そこで建設的な意見を穏やかに話す様に好感を持っていたので、
読んでみることにした。


内容は、
第1章 人間形成は家庭から
第2章 学校で何を学ぶのか
第3章 責任ある社会をつくるために
第4章 子育てと国家
終章 強く美しい日本の未来に向けて


第1章があまりに的を得すぎていて、あまりに勉強になりすぎていて、
後半になるにつれてあまり印象に残っていないの・・^^;;

とにかく第1章はうなずきすぎて首が疲れた(笑)
少子化の弊害、それは社会的にはもちろん大きいけど、
子ども一人一人にとっても深刻であるということを改めて納得。

つまり今の世の中では、金がある、モノがある、でも子どもは少ない。
そんな中で親も社会も、子どもに「自立をはばむための手をかけすぎる」のだ。
手をかける目的を考えずに闇雲に口や手をはさんでいても、
子どもの自立心は生まれないと思う。


難しいことのようだが、考えれば至極簡単なことなんだよね。
自分の子ども時代を思い起こす記憶力と、
自分の子どもの将来を予測する想像力さえあれば、
今自分が手を出すべきかなんてわかりそうなんだけどな・・。


たぶん理想なのは、ある程度の年齢になったら
「いつもかけてやるのは視線だけ。
細かく見つめて助けが必要だと判断したときにだけ手を貸す」(本書より)
ということなんだろうけど、
実際には色々な感情が入って一筋縄ではいかないんでしょうね^−^;;


金さんがこの本で「子育ては闘いだ」と言っているが、まさしくそうだと思う。
子どもは親の背中を見て育つなんていうが、
その背中は立派じゃなくてもいいから誠実でありたいものだ。


そして日本人の美徳は
「天知り 地知り 己知る」
という道徳規範だと金さんは述べている。
誰も見てなくてもお天道様に恥じるようなことをしてはいけない、という道徳観。

そういえば、よくお母さんやおばあちゃんに、
「悪いことは必ずお天道様が見ていて罰があたるんだよ」
「人様の前でみっともない」とよく叱られたっけ。
時代は変わっていくけど、長年の日本の暮らしで生まれた考え方は、
自分の後世にも伝えたいなあと思った。


※この本はほんつなリストにありませんでした
posted by izura at 02:46| Comment(0) | TrackBack(2) | 作者−か行

2006年10月12日

桐野夏生 「顔に降りかかる雨」

この後に続く「村野ミロシリーズ」のプロローグ的作品。


主人公ミロの親友が、恋人の闇の金1億円とともに姿を消した。
1億円を取り返したい暴力団に疑いをかけられたミロと親友の恋人が、
お互い不信感や疑惑をもちながらも、協力して解明に動き出す。
というお話。


最近のミステリーに多いと思うんだけど、
本線であるミステリーに加えて、登場人物の人間関係が緻密に描かれている。
この作品の場合は、主人公ミロと失踪した親友の恋人、成瀬の関係だ。

お互い種類の違う暗い過去を持ち、
その過去がわかるたびに疑ったり憎んだり親しみを感じたり、と
関係が微妙に変わっていく。
お互いに失踪した親友と共謀してるんではないかという疑念が交錯しながら、
くっついたり離れたりする関係にも注目するともっと楽しめると思う。


そしてもう一つの関係はミロと親友耀子の関係。
最初は親友耀子が人の金を持ち逃げするはずがない、
とまったく疑っていなかったミロが、
隠された事実を暴いていくうちに親友が自分に見せていなかった内面を知り、
疑いの目で親友を見るようになっていく。


ネオナチやボンデージ、死体愛好、と衝撃的な話を絡めながらのストーリー。
ミステリーとしてはおもしろいし、
それほど状況が混み合ってもいないので一気に読めると思う。
でもけっこうどんより系ミステリーかも^−^;;


顔に降りかかる雨

著者名:桐野夏生(著)
出版社:講談社
出版年:1996.07
ISBN :4062632918

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2006年10月05日

片山恭一 「世界の中心で愛をさけぶ」

ストーリーは、高校生サクと恋人アキとの物語。
最後はアキが死を迎え、サクは・・・というストーリー。
すいません、うろ覚えです。


で、
ごめんなさい、私はすすすーっと読んでしまいました。
もっとじっくり読めばもっと響くものがあったかもしれなかったし、
ベストセラーになった理由もわかったのかもしれない。
これだけブームになったのだから、大きな魅力があるのだろう。


でも、私は感じられなかった。
涙もろい私がまったく泣けなかった。
「泣きながら一気に読みました」という帯に踊らされている私^−^;;

泣けなかった理由をあれこれ考えてみる。
純粋さを自分が失ってしまったのか?
表現がステキ過ぎて、現実感を感じられなかったのか?
もうこんな恋愛はできないと、わかってしまっているからなのか?


いまだ理由はわからず。
もう一度読んでみようかと思う今日この頃です。


ところで、アキちゃんはこんなことをサクくんに言っています。

「わたしはね、今あるものなんか、みんなあると思うの。
みんなあって何も欠けてない。
だから足りないものを神様にお願いしたり、あの世とか天国に求める必要はないの。
だってみんなあるんだもの。
それを見つけることの方が大切だと思うわ。
いまここにないものは、死んでからもやっぱりないと思うの。
いまここにあるものだけが、死んでからもあり続けるんだと思うわ。」


このセリフが一番好き。
高校生で人生観が形成されているアキちゃん、すご過ぎです。
彼女が作品の中で崇高に感じられるのは、こういう感じ方から来るのかな。


世界の中心で、愛をさけぶ

著者名:片山恭一(著)
出版社:小学館
出版年:2001.03
ISBN :4093860726

posted by izura at 13:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 作者−か行