「最後の息子」・・・オカマの閻魔ちゃんと暮らす「ぼく」の日常を、
普段回していたビデオカメラを通じて描いた作品。
愛されることを願いながら奇妙な生活を続けるぼくが
淡々と描かれている。
「破片」・・・父、兄、弟の男家族を描いた作品。それぞれの抱える問題を描いている。
「Water」・・・高校水泳部でがんばっている「ぼく」の視点から見た
家族、友情を描いた作品。
で感想は、
いい(・▽・)
最初の2篇は、特にさわやかな状況を書いているわけではない。
虚無感すら感じるんだけど、
なんというか、ちょうどいいほどほどの虚無感なのです。
読み終わった後にどよーんとする感じは全くなく、暗さもなく、
無気力な主人公に愛しさすら感じちゃう。
「最後の息子」の中には愛されることについてぼくが語っている場面があり、
愛されようとするのは、救いようのない悪気だと思う
という一節が心に残った。
確かに誰かに愛されるために、誰かの気をひくために、
後から考えると浅はか過ぎて顔を覆いたくなるようなことを
平気でしてしまうことがある。
泣いてみたり。どうしようもないわがままを言ってみたり。
突っぱねてみたり。しがみついてみたり。
最後の1篇「Water」は、青春真っ只中の少年の目を通して描かれた世界が、爽快感いっぱい。
彼の家族には悲しい過去があったが、
少年のまっすぐな目で真剣にその意味を問おうとしている。
そして彼の周囲の友達、後輩。
清涼感ただよう作品で、これが私の1番のお気に入り♪
作品の後半で、少年は死んだ兄の日記を見つける。
たぶんこれからのボクの人生は、何を持っていくかで決まるのだと思う。
どんな思い出をもっていくかで、ボクの人生は決まるのだ。
若いときに出会いたい一節だなあ、と思う。
最後の息子
著者名:吉田修一(著)
出版社:文藝春秋
出版年:1999.07
ISBN :4163185704

