2006年11月25日

アガサ・クリスティー 「そして誰もいなくなった」

おもしろい!!!
クリスティーの最高傑作という言葉に納得。


出入りが不可能な島で、次々に人が死んでいく。
残る者が犯人である可能性が出てくるのだが、とうとう7人全員が殺されてしまう。
犯人は誰?どうやって人の目を盗んで殺したの?


しかもこの殺人はマザーグースの歌に沿って殺されていくのです。
予告殺人ほど、人の恐怖を煽り立てるものはない。
しかも犯人は隣に座っている人物かもしれない。
次に殺されるのは自分かもしれない・・・ ̄□ ̄;;


そういった緊張感が翻訳作品でもピシピシと伝わる傑作!
読むなら途中でやめられないので、休日に一気に読むのがオススメです^−^
特別薄くはないけど、あっという間に引き込まれて読んでしまうでしょう。


そして誰もいなくなった

著者名:アガサ・クリスティー(著)
清水俊二(訳)
出版社:早川書房
出版年:1976.04
ISBN :415070001X

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2006年11月16日

乃南アサ 「ライン」

ラインとは、「オンライン」のライン。
主人公の浪人生薫は、現実でのやりきれなさや寂しさをチャットで埋めようと、
夜な夜な「KAHORU」というハンドルネームで女になりすまし、
ちやほやされて楽しんでいる。
しかし、ネット上のKAHORUに本気で惚れた男性が
実際に彼女に会いに行った先で殺害されてしまうのだ。


ミステリーなので、これ以上の展開については言えないけど、
ネット上での心理状態などが緻密にかかれている。
まだパソコン通信の時代に書かれた作品なので、
今はすんなり「こういう世界もあるある」と思って読めるけど、
当時は「げ!信じられない!」という感覚で
チャットの場面が読まれてたのかなーと思う。


浪人生という微妙な立場、親の期待、友達に先を越される感覚。
10代特有の、ちょっと自己中心的でちょっと他力本願で
ちょっと楽観的な雰囲気を、主人公薫は漂わせている。
若者の心の葛藤みたいなものも、この作品の読みどころかな。


ただ個人的には、
乃南さんの好きなところは物語が重厚で切れ味鋭い謎解きにあるので、
今回のはちょっと物足りなかったかなー^−^;;


ラストの場面、薫は警察官に諭される場面があって、
「もう少し現実に目を向けたらどうだ?」と言われ、
「現実なんか重苦しいだけじゃないか、疲れるだけじゃないか」と
言い返そうとした瞬間、違う気持ちがこみあげてきた薫。

時には煩わしく、邪魔でうるさいばかりに思えても、
彼らは皆、血の通った生身の人間だった。
その存在に、嘘はない。

普通の人は、現実の世界とネットの世界を住み分けられる。
もちろん違いははっきりつくし、常に身を置いているのは現実の世界だ。

でも、この作品の主人公のように、
逃げ込みたいとき、刺激がほしいとき、
評価されたいときはどうだろうか?
現実世界に逃げ込める場所がないなら、
ネットの世界に逃げ込んだって不思議はない。
自分の素性を知れることはないんだし。

また、住み分けられない人を狙っている悪質な人もいる。
両方の世界を住み分けられない人や、簡単にその垣根を越えてしまう人は、
ネットの怖さを認識しなきゃだめですね。
最近ネットや出会いサイトによる犯罪は増える一方。
現実の人間関係を遮断し、
自分を飾ってでも表現できるネットでの人間関係を望んでいる人は
増えてるのかな、やっぱり。
バランスって必要だよなーとつくづく思う最近なのでした^−^;;


ライン

著者名:乃南アサ(著)
出版社:講談社
出版年:1997.11
ISBN :4062636336

posted by izura at 11:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 作者−な行

2006年11月10日

横山秀夫 「真相」

「事件が終わった後に残るもの」にスポットを当てている短編集。
普通事件というと、犯人と被害者当人に目が行きがちだけど、
この作品では周囲の人たちに視点を変え、描いている。


内容は、

真相・・・・息子を殺され、10年後に犯人逮捕の知らせを聞いた家族。
      でも逮捕とともに事件の真相も明らかにされる。
18番ホール・・・・周囲に請われ、安定した職を捨てて村長選に臨んだ男。
         「18番ホール」への執着と、
         背水の陣である精神緊迫状態が自体を思わぬ方向へ。
不眠・・・・リストラされて自信を失った男。
      不眠に悩まされ夜中町を徘徊していた男が見た状況が、
      事件を動かしていく。
花輪の海・・・・大学時代の苦い過去を忘れようとしている男が、
        1本の電話をきっかけに記憶を呼び覚まされる。
他人の家・・・・刑期を終えて社会に戻った男とその妻の現実生活を描いている。


ざっと書くとこんな感じかな。
内容がミステリアスだと、
どうもあらすじまでミステリーチックな語り口調になってしまう^^;;


で、感想。
おもしろい!!!

内容を見てわかると思うけど、横山さんの書く作品の主人公はいつも男性だ。
男の葛藤、プライド、見栄、劣等感、弱さ、脆さ。
すべてが凝縮された話ばかりだ。


近年女性の心理を見事に緻密に描く作家さんはとても多く見られるけど、
横山秀夫さんは、男性の心理を緻密に書き上げる。
女性の私からは想像できないような細部にまでペンを走らせている。
ストーリーのおもしろさに加え、登場人物にも感情が入り込んでしまう。

そしてこの人の書く文章には、なぜかいつも涙が出そうになるのよね〜
涙の理由は、
男性の悲哀、追い込まれた精神状態、それでも現実に向き合おうとする痛々しさ。
それらがリアルに心に響く感じがする。
そしていつもラストに状況が動くので、
ラストに向けて緊迫感をもって読むことができる。

横山さんの本は男性はもちろん、女性にもとにかくオススメです。


真相

著者名:横山秀夫(著)
出版社:双葉社
出版年:2006.10
ISBN :4575511005

posted by izura at 18:07| Comment(0) | TrackBack(2) | 作者−や行

2006年11月06日

銀色夏生 「これもすべて同じ一日」

高校生のときに読んだ詩集。
当時は私の周りはみんな銀色さんの詩集を一度は手にとっていた、
というほどの人気だった。


本の感想とは何の関係もないんですが、

銀色さんのこの本は思いがけない形で手にした。
友達が遊びに来たときに銀色さんの2冊の詩集を持って来た。
「どうしたの?」
「それが・・・・玄関の前に花束と一緒に置いてあったの」

へ?
考えてみれば、前の日は友人の誕生日。
どうやら誕生日プレゼントとして、同級生の男の子が置いていったらしいの。


・・・・・・・みなさん、どうですか?こんな形の愛の告白。
私は・・・・・・
すいません、ドン引きでした^−^;;
当然友達も^−^;;
「はっきり言って受け取りたくないから、もらって」と友達が言うので、
私が戴くことに。
(もう時効だよね。○○くん、ごめんなさい。
そのかわり私が15年も持ってましたから!)


で、本題に。
この人の詩集は、挿入されている写真が爽やかで好き。
きれいな写真ときれいな詩。
パラパラめくるだけで癒されます。


〜「これもすべて同じ一日」より〜
あなたのためになら
私にウソをついてもいいよ

私はいつだって こうやって
きたんだから

何かのためにかなしむのなら
誰かのためにかなしむのなら
もう何もかも まぶしくなっても
かまわないと思ってる



15年ぶりに読み返して見たけど、
すっかり当時のピュアな気持ちをなくしてしまっただろう今でも、
恋する気持ちや、人を思うけなげさがまっすぐに伝わってくる。

というわけで、彼が知らないところで私がこの本を大切に持っています ̄ー ̄


これもすべて同じ一日

著者名:銀色夏生(著)
出版社:角川書店
出版年:1986.12
ISBN :4041673011

posted by izura at 10:38| Comment(2) | TrackBack(0) | 作者−か行

2006年11月03日

野口 悠紀雄 「「超」勉強法」

この本は国・数・英3教科に対するそれぞれの勉強法、
暗記法、受験法などが書かれている。
明快に切れ味鋭く書いてくれているので、大変読みやすい。

でも野口さんは経済の専門家であって、受験のプロではない。
野口さんは受験面からではなく、脳のしくみ、
人間の性質などの面から切り込んでいるので、
受験マニュアルというものではなく、
「勉強とは何か」ということについて論じてるといったほうがいいかも。
アドバイス1つ1つが理にかなっていて、納得がいく。


東大受験を舞台にしたマンガ「ドラゴン桜」でも、
「試験は天から降ってくるものではなく、
人間が人間に対して作っているものだ」というセリフがあったが、
まさしくそういう考えの下にこの本は書かれている。
また、科学的な根拠も積極的に取り入れているので、大変説得力もある。


とにかく、勉強で大切なことは、
「マイナスを埋めるよりプラスを増やすこと」だそうだ。
マイナス面を逐一埋めて、基礎をコツコツ積み上げるのは「マゾ」だ、
と野口さんは述べている。
ひょー。
私はいいかげんな人間なので、マイナスを埋めるというのが大の苦手なんだけど、
わからないことをそのままにしておくのは罪悪感めいたものがあった。
でも「そんなもの気にせず先に進んじゃおう」ということらしい。


もう少し早く出会いたかった一冊です^−^;;
でもこれ読んだら、今からでも大学に行けそうに思えちゃうわ♪

超勉強法

著者名:野口悠紀雄(著)
出版社:講談社
出版年:2000.03
ISBN :406264827X

posted by izura at 22:03| Comment(0) | TrackBack(13) | 作者−な行